Research Abstract |
本研究では主として高い抗菌活性を有するデヒドロヘプタペプチドである8種類のアントリマイシン類のうち,2種類のAvおよびDvの全合成を行った。他に,大環状デヒドロペプチド類の部分骨格,それらの伸長反応についても検討した。 まず,アントリマイシン類のペプチド鎖中に含まれている4つの異常アミノ酸,ヒドロキシメチルセリン,2,3,4,5-テトラヒドロピリダジン-3-カルボン酸(Pya),(2S,3S)-2.3-ジアミノブタン酸(Dab),およびデヒドロバリンとデヒドロイソロイシンを合成したのち,N端トリペプチドとC端テトラペプチドを合成し,それらの縮合を試みた。しかし,この縮合は殆んど進行せず,回収に終ったので別法でのカップリングを行った。 すなわち,中央部分のDab-Pya部分を合成したのち,N端とC端側からアミノ酸を伸長し,保護アントリマイシン8種類すべての合成を行った。その後,デヒドロバリン残基を含む二種類の脱保護を行い,精製した。得られた結晶は天然物の隔,比旋光度および種々の分光学的データ(IR,^1HNMR,^<13>CNMR etc)が完全に一致した。 さらに大環状ペプチドでチオストレプトン系抗生物質であるミクロコッシンP,ノシヘプチド,ベルニナマイシンなど多種類の天然物に含まれるデヒドロチアゾールカルボン酸やデヒドロオキサゾールカルボ酸などの合成に成功したので,これらを含む多種類のペプチドの部分骨格の合成を行った。さらに,それらの縮合を行って,上記抗生物質の長鎖ペプチドの合成にも成功している。 以上の成果はすでにいくつかの論文になっているもの,印刷中,投稿中のものまで含めて10以上あり,成果として優れていることを証明している。
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