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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
本研究計画にある巨大アルカンチオールとしてHSC(SiMe_3)_3(=HSTsi)をまず高純度で合成し,そのリチウム塩を得た。このLiSTsiとジルコニウム,鉄,ニッケル,ランタニドの塩化物との反応を行ない,以下の多くの新錯体の単離,構造決定に成功した。 1)一般にチオラートのリチウム塩はTHF等の極性溶媒にのみ可溶であるが,LiSTsiはヘキサンにも易溶な結晶として得られる。Li_4(STsi)_4の組成を持ち,キュバン型Li_4S_4骨格構造を有する。各リチウムはキュバン骨格の外側に配位子をもたず,極度の配位不飽和状態になっている。 2)LiSTsiとZrCl_4との反応より,Zr(STsi)_3Clを単離した。Zrまわりはほぼ正四面体構造をとり,かなり混みあっている。そのため,過剰のLiSTsiを加えても塩素原子はチオラートと置換しない。一方,YbCl_3との反応をtmeda共存下で行なうと,チオラート塩の付加体に相当するYb(STsi)Cl_3(tmeda)Li(tmeda)が生成した。 3)LiSTsiと[Fe_4S_4Cl_4]^<2->およびFe(OEP)Clとの反応からは,金属酵素モデルとして興味深い鉄イオウクラスター[Fe_4S_4(STsi)_4]^<2->と鉄ポルフィリン錯体Fe(OEP)(STsi)が得られた。かさ高いチオラートが配位することにより,これらの錯体は溶液中でもかなり安定化されている。 4)ニッケル塩化物との反応の場合は,炭素-硅素結合や炭素-硫黄結合の一部が解裂したチオラート錯体やスルフィドクラスターが得られた。例えば,Ni(dppe)Cl_2との反応ではNi(dppe)-Cl{SCH(SiMe_3)_2}を与えるのに対し,NiCl_2との反応からはNi(l)錯体[Ni{SCH(SiMe_3)_2}_2-{S=C(SiMe_3)_2}]^-が得られ,Ni(PPh_3)_2Cl_2からはキュバン型Ni_8骨格の各面に硫黄原子がη^4で配位したクラスター[Ni_8S_6(PPh_3)_8]^<2->が単離された。
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