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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
緑色光合成細菌の光捕集色素構造体であるクロロソームは,1つの構造単位当たりの色素分子の数が格段に大きく,弱い光条件に良く適応しているが,その構造と機能の解明は遅れている.本研究では,その我々が独自に開発した水溶液中のクロロソーム再構成系を用いて,クロロソーム内での色素の高次構造形成に必須な成分とその役割を特定し,また,直線偏光による吸収・蛍光測定,ピコ秒の蛍光測定により,再構成色素系の高次構造と機能の関係を調べ,クロロソームの色素の高次構造と機能を支えている因子を以下の点で明らかにした. 1.再構成クロロソームはタンパク質の関与無しに形成されるが,精製したBChl cだけからでは形成されず,これに両親媒性の脂質を加えることが必要であった.この結果から,クロロソームの基本構造はBChl cのみのロッド構造の束と,その束を取り囲む一重膜のガラクトリピッドから成るという仮説を作成した. 2.先にクロロソーム内には存在状態の異なる2種類のBChl cフォームがあるという結果を得て発表したが,それを再構成系で調べたところ,さらに多くのフォームがあることが示唆された. 3.色素の高次構造と機能の関係を明らかにするため,再構成クロロソームでのエネルギー移動過程を蛍光測定を用いて解析した.特に,蛍光の偏光解消の測定を北海道大学の山崎巖教授の研究室の協力を得てピコ秒領域で行い,先に示したBChlの方向が良く揃った構造が,励起エネルギー移動の過程にも重要であることを示した.
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