膵臓におけるプロラクチンの生理作用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
05640746
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
生物形態・構造
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
守 隆夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011659)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | マウス / 膵臓 / プロラクチン / インスリン / 細胞増殖 / 哺乳 |
Research Abstract |
下垂体ホルモンであるプロラクチンが、膵臓の生理的機能をいかに修飾しているかを明らかにすることを目的として実験を行った。材料としてはSHN系雄マウスの腎被膜下に、同系雌マウスの下垂体を移植することで作製した高プロラクチン血症動物を用いた。この高プロラクチン血症マウスにおいて、膵臓の重量変化を下垂体移植後から経時的に調べたところ、移植後15日目から90日目まで、正常対照群のそれに比べて増加することが明らかになった。そこで、膵臓全体のDNA量およびタンパク質量を測定し比較検討した。その結果、重量当りのタンパク質量はむしろ低下しているのに、DNA量は増加していたことから、膵臓のDNA合成能が全体的に上昇していると結論した。DNA合成中の細胞の出現率をBrDUの取り込みで調べた結果、膵臓の内分泌および外分泌、両組織とも正常対照群に比べて活発にDNA合成を行っていることが判明した。すなわち、高プロラクチン血症は、膵臓組織全体の細胞増殖を刺激しているものと考えられる。上記の実験と並行して、哺乳期間中に血中プロラクチン値の上昇と、膵臓重量の増加が起こることも確かめたので、プロラクチンは哺乳中に体内でおこる消化機能の変動に何らかの役割を担っていることが示唆された。しかし、プロラクチンの免疫組織化学を行ってみると、プロラクチンは内分泌組織のB細胞にのみ取り込まれて、外分泌細胞には取り込まれないことから、プロラクチンの外分泌組織に対する刺激作用は、間接的なものである可能性が強い。加えて、高プロラクチン血症は血中インスリン値をむしろ低下させるので、外分泌組織に対するプロラクチンの作用はインスリンを介するものでないと考えられる。今後はプロラクチンにより刺激される消化機能の実態と、それに関係する他のホルモンあるいは酵素などの生理活性物質が何であるかを追求する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)