超伝導発現をめざした電荷移動塩積層膜の構造安定化の研究
Project/Area Number |
05650007
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Applied materials science/Crystal engineering
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Research Institution | 東京商船大学 |
Principal Investigator |
和泉 充 東京商船大学, 商船学部, 助教授 (50159802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大貫 等 東京商船大学, 商船学部, 助手 (60223898)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 電荷移動錯体 / 導電性LB膜 / 有機超電導 / 低次元物質 / 有機機能性薄膜 / π(パイ)電子糸 |
Research Abstract |
超電導物質としてユニークな一群をなす有機電荷移動錯体(CTC)はπ電子系の示す興味深い振舞いが注目されている。われわれはEDT-TTF(ethylenedithio-tetrathiafulvalene)をドナー分子とするヨウ素のアニオンとのCTCをラングミュア・ブロジェット(LB)法により薄膜化して物性研究を行なっている。本研究はLB法により多層膜にした試料を40-50℃でアニール処理をすることにより長期間安定な分子集積構造をもつ膜を得ることに成功し、電気伝導機構に重要な役割をになうアニオン分子の配向状態と構造解析を行なったものである。以下に研究成果を列挙する。 1.アルキル鎖を修飾したEDT-TTF(SC_<18>)_2を合成し、純水をサブフェイズとする気液界面上に展開し表面圧-面積曲線を測定し、等温圧縮率を評価した。これをガラス基板のみならずポリイミド基板上にもdippingをおこない、ヨウ素ガス中でCTCとし電気伝導性LB膜を得ることができた。 2.1.の膜を長時間低温でアニールすることにより、X線回析で積層秩序を評価するかぎりもっとも高い積層秩序をもつLB膜とすることに成功した。 3.上記の膜を原子間力顕微鏡で評価したところLB膜としては極めて顕著に積層周期の半周期の整数倍に対応するステップ構造が観察され[2]とよい一致を示した。 4.膜面内の高い電気伝導度(1S/cm at 300K)はTTFカラムにそうπ電子軌道におけるアニオンとの間での電荷移動が支配していると孝察される。そこでシンクロトロン軌道放射X線によりその高い直線偏光に注目してアニオンI_3の分子配向をXANES(X線吸収端近傍構造分光)により調べた。詳細な測定の結果アニオンは積層面内にその分子軸を平行に分布していることが初めて明らかにされた。 5.これらの結果からこのCTCの面内最密充填構造を組み立てて構造モデルを提出した。モデルではアルキルブロック間での高い一次元電気伝導性を示唆する構造となり、最近作成に成功した同型単結晶との構造比較が進行中である。 6.この系では現状では超伝導は観察されていないが、その実現のためにはより2次元性の高い電子軌道を構成する必要がある。本研究成果により、ドナーおよびアニオンを取捨選択することにより、高い次元性をもった電子状態を創成する方法論を確立したといえる。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)