Research Abstract |
1.大規模方程式(あるいはその係数行列)の分解に関して代表者が提案したマトロイド理論的構造解析手法(CCF分解)をプログラム化し,国際的に標準とされるテスト問題(約30組)に適用した.その結果,つぎのような知見が得られた. (1)化学プラントや経済モデルを記述する方程式系は,CCF分解によって細かな階層的部分問題に分解される. (2)連続場を記述する偏微分方程式の離散化から生じる方程式系は(非対称行列であってもほとんどの場合)CCF分解によって分解されない. (3)CCF分解の実際的な有効性を高めるためには,部分問題間の半順序構造を厳密に実現することを放棄して,変換行列の疎性を保つようにすべきである. 2.ランダムな初期不整を含む材料や構造物の強度を解析するための統計理論を提案した.これは,群論的分岐理論の枠組みを不整ベクトルの項を付加することによって幾分拡張した理論であり,ランダム不整に起因する強度の確率分布を与えるものである. この理論を,対称性の群が,二面体群,2次直交群,2次直交群の直積,の各場合について考察し,それぞれの場合の確率分布を導いた.この手法を,砂,粘土,コンクリート,シェル,トラスなどに適用して実験値と比較した結果,実験で観察される強度分布をきわめてよく説明できることが確認された.
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