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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
本研究は,動力伝動装置用低振動・低騒音ハウジングの設計法を確立し,その設計支援システムを構築する研究の一環として開始された.当該年度においては,低振動ハウジング形状の最適設計法の基礎を確立することを主たる研究目的とした.研究内容および成果を以下に記す. 1.構造物の低振動設計においては,通常,注目点への振動伝達関数が評価関数に用いられている.しかし,伝達関数は本研究で扱う装置全体の振動・騒音を評価する目的には必ずしも適さないので,評価関数としてハウジング全体の振動エネルギを採用した. 2.ハウジング形状の表現法とこれに関係する設計変数の選択について検討した.形状変更を柔軟に行なうためには,それが可能とする多数の設計変数を必要とする.しかし,これは一方で問題を複雑にし,結果を普遍化する上で妨げになりかねない.本研究では,円筒歯車装置を想定し,その上部ハウジングを歯車軸に平行な直線によるロフト曲面で形成することにして,スプライン曲線を利用してその曲面を生成した. 3.三角形シェル要素による上記曲面の生成プログラムを作成し,先に開発した最適設計プログラムにインプリメントした.これは,有限要素法とモード解析法による振動エネルギとその感度の評価部,および傾斜投影法と1次元探索を組合わせた最適化部から成る. 4.ハウジング軸受部に作用する起振力の特性をFFT解析などを参考にして考察し,多くの起振力スペクトルの中でかみあい周波数成分に着目することにした. 5.上記の調和起振力を受ける場合について,最適設計を行なった.スプライン曲面を決定するいくつかの節点の位置を設計変数とし,想定する歯車とハウジングの干渉を設計変数の制約条件として与え,起振力周波数における振動エネルギを最小化した.この結果,いくつかの初期形状から局所的な最適形状に到達することが確かめられた. 6.最適形状が初期形状の影響を受ける原因について考察し,本問題の多峰性に起因することを知った. 以上の結果,開発した設計プログラムを用いて伝動装置用低振動ハウジングの最適形状を決定できることを確認した.本研究で採用した形状表現法が比較的簡単であるため厳密な意味で最適化を行なったとはいえないが,今後,板厚分布の変更やリブの配置などの手法をも併用して,本方法で得られた基本形状を精密化し,振動をさらに低減できると考えている.本研究で得られた成果を基にして実用的な設計支援システムの提案とその評価を目指して研究を継続している.
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