Research Abstract |
本年度は,岡崎分子科学研究所の極端紫外光施設専用のビームライン(BL4A)に実験装置を設置する必要があるため,最初に,専用の差動排気装置を自作し,これに既存の成長装置等を一部改良,接続,立ちあげることから進めた。本研究は,新しい研究分野であるため,成長の様子をその場的に観察する手法(RHEEDなど)を積極的に取入れて成長の様子を掌握することと,成長速度,成長層の結晶性等の基本事項を明らかにすることに重点をおいた。実験は,原料としてDENn,DETeを使用し,H_2をキャリアガスとして,VI/II比をほぼ2とし,pToT=5×10^<-5>Torr,p_<DETe>=10^<-7>-10^<-6>Torr下で行った。窓(サファイヤ)の有無の影響を調べた所,窓無しに限ってGaAs(100)上に室温での成膜が確認され,しかもエピタキシャル成長していることがRHEED,XRD,XPS等により確かめられ,150nm以上の波長の光は成膜に効果が無いことを明らかにした。成長速度は,P_<DETe>と共に大きくなり,P_<DETe>=3×10^<-6>Torr程度の非常に低い圧力でも0.1mum/hと高い値が得られた。XPS,PL測定により,膜中にはC,Oが認められなかったことから,良好な成長が行われていることが推察された。しかしながら,RHEED観察によると,約0.01mumの厚さで2次元成長から3次元成長に移り変わり,原子尺度では,荒れた表面状態になってしまうことが分かった。成長速度を変えても,ほぼ同じ膜厚で成長形態が変わることからZnTeとGaAsとの間の格子不整合の影響によるものと推察された。格子不整合による影響の少ないGaSbを基板とした実験も試みたが,成長前の表面状態に問題があるため,GaAsと同様にエピタキシャル成長は達成できたが,表面状態の改善には至らなかった。現在,GaSbに対し良好な基板処理条件を模索している。次に,膜厚の制御性を調べるため,原料の吸着層への光照射を繰り返した。成長速度は,本法により6A/繰り返し回数と原子オーダで膜厚制御出来ることが分かった。
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