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¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
人間の聴覚系では,両耳の相互作用によって,いわゆる3次元音空間の知覚が可能である.この3次元音空間の知覚を制御して,3次元音場再生を精度良く行うためには,音源から外耳道入口までの伝達関数,すなわち頭部伝達関数を高精度に合成する必要はある。 これまで,頭部伝達関数の合成にあたっては,受聴者の両耳の位置2点の音圧を対象するという手法が広く用いられてきた.しかし,この方法では,受聴者が1名に限られる他,受聴者の頭部がわずかに動いただけで,伝達関数の模擬精度が大幅に低下するという問題があり,実用化に至っていなかった. そこで本研究では,単に両耳の外耳道入口2点だけではなく,頭部の移動を考慮して,頭部周辺の多数点の伝達関数を同時に最小2乗的に模擬するという新しい手法について検討した.実験では,最大5個の音源を用いて,外耳のまわりの5点の音圧の模擬を行った.その結果,外耳道入口の1点だけの音圧を模擬した場合に比較して,伝達関数が精度良く合成されている領域(合成誤差-10dB以下)の大きさが大幅に拡大することを明らかにした.また,音圧ばかりではなく,音圧傾度の合成についても検討を行い,全く同じ定式化によって合成を行うことができることを示した. これらの結果は,学会の複数の研究発表会で口答発表を行った他,日本音響学会誌の英文誌に掲載されている。本研究により,頭部の移動に強く,また複数の受聴者にも対応し得る,これまでにない高精度の音空間制御手法の実現化に向けて大きな進展があったと考えている.
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