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¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
1.生理活性物質として重要な役割を果たしているグルタチオン(GSH)は銅(II)触媒を用いる接触酸化により,H_2O_2と二硫化物を生成する。いま,生成するH_2O_2をペルオキシダーゼ(POD)を触媒とするルミノール化学発光(CL)で反応開始から逐次測定したとき,CLが遅延して発現する現象を見出した。そこで本研究では,本遅延CL反応をGSHの計測法に応用した。なお,PODには西洋わさび由来のHRPおよび微生物由来のARPを使用した。HRPおよびARPを用いて,銅(II)触媒によるGSHの接触酸化で生成するH_2O_2を測定した結果,いずれのPODにおいても,反応開始直後に第一ピークが,さらに,反応開始後しばらくしてから第2ピークが発現した。第2ピークが発現する時間はARPのほうが短かった。また,いずれのPODにおいても,第2ピーク強度がGSH濃度に依存したことから,第2ピーク強度が最大になるように,pH,POD,ルミノールおよび銅(II)濃度を最適化し,検量線を作成した。ARPを用いた場合,GSH濃度が7.5x10^<-7>M〜3.0x10^<-5>Mの範囲で,また,HRPを用いた場合,1.0x10^<-5>M〜1.0x10^<-3>Mの範囲でCL強度と良好な直線関係が得られた。以上の結果から,ARPを用いた場合,従来法と比較してより高感度なGSHの定量が可能である。 2.HRPとARPを用いた場合とで,第2ピークが発現する時間が変化した原因を明らかにするため,それぞれのPODサイクルで生成するPOD中間体の生成速度をストップドフロー法で求めた。その結果,POD中間体の生成速度はHRP系に比較してARP系において著しく増大することがわかった。したがって,ARPの場合,ルミノールラジカルの生成速度も速いことが予想され,そのためHRPに比較して第2ピークの応答が早まったものと考えられる。
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