Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
層状の結晶構造をもつ種々の遷移金属カルコゲン化合物は,リチウムなどのアルカリ金属を収容するホストとして知られ,高エネルギー密度をもつリチウム二次電池の正極材料として応用面から注目されている.一方,これらの研究の多くは実用を直接目標にしたもので,ホスト中へのゲスト物質の挿入反応の速度論などについては,利用しうる基礎データは少ない. 本研究においては,層間がイオン結合による層状遷移金属カルコゲン化合物の典型例として,カリウムモリブデンブロンズ(K_<0.30>MoO_3)をリチウム挿入反応のホスト物質として新たにとりあげた.そして,これらの単結晶をまず合成し,その中への電気化学的リチウム挿入反応の特徴を基礎的な立場から明らかにした. より具体的に述べると, 1)電量滴定法による平衡論的・速度論的検討 いわゆる電量滴定法により,ブロンズ相内におけるリチウムの化学ポテンシャルおよび化学拡散係数を挿入量の関数として決定し,構造変化の解析結果とあわせて固溶限界を明らかにするとともに,リチウムイオンの移動度を求めた. 2)挿入・脱離反応の可逆性の評価 主として定電流法によって電気化学的リチウム挿入・脱離のサイクルを行わせ,その際の放充電電位の解析およびブロンズ相内でのリチウムの定量分析により,二次電池正極材料としての可能性を検討した. さらに,可逆性を支配する平衡論的・速度論的要因を推定し,層間にイオン結合性をもった遷移金属酸化物のリチウムホストとしての特徴を明らかにするとともに,実用正極材料としての材料改質の指針を得た.
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