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¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
超強酸や強酸中でアリルカチオンの前駆体であるアリルアルコールと一酸化炭素(CO)との反応を試み、シクロペンテノンなどのような有用な化合物の合成の可能性について検討した。 プロトン酸媒体中で下に示すようなアリルカチオンを与える6種類のアリルアルコールの合成を行なった(一部市販品購入)。濃硫酸中では反応系にギ酸を滴下して一酸化炭素を発生させて反応を行なった。HF-SbF_5などのような超強酸を使用する場合には、常圧のCOガスを反応系に直接導入して反応を行なった。生成物の定量にはデータ処理用クロマトパック付きガスクロマトグラフを使用した。 濃硫酸中での反応では、tert-tert形のアリルカチオンはCOと反応して、約80%の収率で選択的に2,2,4,4-tetra-methyl-γ-butyrolactoneを与えた。同様に、prim-tert及びsec-tert形のアリルカチオンも対応するγ-ラクトンを与えた。これらのラクトンは常法により一段階で対応するシクロペンテノンに変換することができた。しかしながら、その他のprim-prim,prim-sec,及びsec-sec形のカチオンはCOとほとんど反応しなかった。 これに対して、HF-SbF5系超強酸中では、sec-sec及びtert-tert形アリルカチオンはCOと反応して、それぞれ5-methyl-2-cyclopenten-1-one,3,5,5-trimethyl-2-cyclopenten-1-oneを定量的に与えることがわかった。このように、生成物組成はプロトン酸の酸強度やアリルカチオンの構造に顕著に依存することがわかった。また、本反応はシクロペンテノンの簡便な合成法として有用であると考えられる。
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