Project/Area Number |
05650879
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Synthetic chemistry
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平尾 俊一 大阪大学, 工学部, 助教授 (90116088)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 合成金属 / レドックスサイクル / 共役系高分子 / 酸化 / 触媒 |
Research Abstract |
導電性材料として注目を浴びている共役系高分子ポリアニリンの可逆的レドックス特性に基づいた、合成金属触媒システムが構築できた。効率的な電子伝達系により、酸化反応における有用な合成手法が開発された。 酸素雰囲気下、触媒量のポリアニリンを存在させて、ベンジルアミンの酸化反応を行ったところ、脱水素酸化が触媒的に進行し、対応する酸化生成物であるイミンが良好な収率で得られた。この結果により、ポリアニリンが合成金属触媒として機能することが明らかになった。ジフェニルメチルアミンも同様に酸化された。さらに、ポリアニリンに対する置換基導入やドーピングは、その構造、電子状態に変化をもたらし、触媒酸化能力に大きな影響を与えることが見いだされた。 ポリアニリンのレドックス過程を、紫外-可視吸収スペクトルで解明した。ポリアニリンの酸化体に基づく吸収は、窒素雰囲気下、ベンジルアミンで処理したところ消失し、還元体に変換することが示唆された。この系に酸素を吹き込めば、再び酸化体に相当する吸収が現われ、ポリアニリンがレドックスサイクルを形成することが判明した。 ポリアニリンによる酸化反応の適用範囲を明らかにする目的で、他の基質についても検討した。アミノ酸である2-フェニルグリシン誘導体を、酸素雰囲気下、ポリアニリンで同様に酸化したところ、脱水素酸化とともに脱炭酸反応が起こり、ベンジルアミンの酸化で生成したイミンが得られた。カルボキシル基がまず一電子酸化され、脱炭酸反応でベンジルラジカルが生成し、さらに一電子酸化されることで反応経路は説明される。 以上の如く、共役系高分子ポリアニリンは酸化反応において、合成金属触媒として有用であることが明らかとなり、概念的に新規な触媒システムが確立できたと考えられる。
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