Research Abstract |
分枝系からみた理想的草型を策定するため,莢実形成に及ぼす各分枝の役割とその品種間差について物質生産に着目して検討した.なお1993年度は低温・少照の異常気象でラッカセイの生育は極めて不良であったので,これまでの関連実験結果を含めて報告する. (1)1次分枝を下位2本,次の2本,それ以上の部位に分けてみると,各部位の莢実の占める割合は,主茎着花・生殖節連続配列型(S型)品種50,30,20%前後,主茎無着花・生殖節連続配列型(M型)品種および主茎無着花・生殖節交互配列型(V型)品種60〜70,20〜30,10%前後であった.莢実への乾物分配割合はいずれの品種とも上位の1次分枝ほど小さくなったが,その程度はV型品種で顕著であった.幹物の部位間の移行は主茎と分枝間>上位と下位分枝間>下位分枝相互間の順に容易であり,品種ではS型がV型に比べて移行しやすい傾向がみられた.葉の光合成特性は生育盛期には上位から3〜4葉位が高く,同じ葉位の小葉間,主茎・分枝間でも同じ葉令であれば大差なかった.(2)1次分枝と2次以上の高次分枝では,1次分枝部位の莢実の占める割合はS型品種65〜70%,V,M型品種50%前後であった.各部位の莢実重割合(収穫指数)はS,M型品種では60〜70%で部位間差がみられなかったが,V型品種では1次分枝部位60〜70%,高次分枝部位50%前後で,高次分枝部位で低いとともに,生育,環境条件での変動が大きかった. 以上の結果,分枝系からみると,S型品種は1次分枝依存型,V型品種は高次分枝依存型,M型品種は中間型と判断され,収量向上にはS型品種では乾物生産,V型品種では莢実への乾物分配,とくに高次分枝部位で高めることが重要であった.理想的草型としては生殖節連続配列型で有効開花数を早く確保するとともに,分枝長が短く,上位および高次の分枝部位の莢実重割合が安定して高い特性が望まれた.
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