Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
|
Research Abstract |
蚕のウイルスNPV,CPV,DNVなどの不活化について,Ca(OH)_2,Ba(OH)_2,Ba(OH)_2などのアルカリ土類水酸化物の飽和液及びその希釈液を用いて,不活化の有無を生物検定により調査すると共に,電顕観察によりウイルス粒子の溶解様相を明らかにした. Ca(OH)_2とBa(OH)_2の飽和液及び2倍希釈液は不活化能を認めたが,Ba及びMgの水酸化物は不活化作用がなかった.前2者はpHが13.16〜12.18,14.03〜13.61と強アルカリに対してて,後2者は8.80〜8.07,10.73〜10.61と低く,アルカリ性の強弱が不活化能を左右する主因であることが考えられた.NPV及びCPVの不活化様相をみると,多角体は5分以内に,それぞれ特徴ある溶解過程を示した.核多角体は小亀裂が多数生じ,そこから溶液が浸潤し,包埋粒子から粒子へと溶解路が通じ,粒子の発育膜が溶解したのち,ヌクレオキャプシドのコアーが球状に変形して崩壊した.細胞質多角体は多角体タンパク質が外側から溶解し,その溶解に伴ってビリオンが遊離し,キャプシドが崩壊して,ウイルス核酸が糸状になって流出した. DNVの不活化はCa(OH)_2,Ba(OH)_2において認められた.特にCa(OH)_2の飽和液及び2倍希釈液処理により,ビリオンは徐々に崩壊するが,約半数のビリオンは崩壊しなかった.浸漬処理前の粒子径は平均22.17nmに対して処理10及び20分後に残留した粒子径は平均2354nmであった.BmDNV-2は6.6kbp(DNA-I)と6.1kbp(DNA-II)の2種の核酸の存在が明らかにされているが,残留した粒子の核酸は電気泳動パターンと制限酵素切断点地図との検討からDNA-Iであることが判明した.これらの結果から,BmDNV-2はDNA-IとDNA-IIを別々に含む2種粒子の存在が推察されると共に,互いに遺伝情報の補完をしながら連携することにより,宿主細胞への感染,増殖が成立することが窺われた.
|