Project/Area Number |
05660140
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
食品科学・栄養科学
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊倉 宏司 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (00101246)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 食品加工 / タンパク質架橋形成酵素 / トランスグルタミナーゼ / グリシニン / ゲル化 |
Research Abstract |
本研究は、食品素材用タンパク質の分子間架橋構造を、酵素反応を利用することにより、量的および質的に変化させ、既存の加工食品をより優れたものにすること、および新しい嗜好特性をもつ加工食品を創製することを目指してなされた基盤研究である。今回は、タンパク質架橋形成酵素トランスグルタミナーゼによるダイズグリシニンのゲル化および形成されたゲルの特性について解析を行った。 トランスグルタミナーゼによるゲル化の際に形成されるε-(γ-グルタミル)リジン架橋の数は、グリシニン分子の表面に存在するリジンおよびグルタミン残基の量と比例的関係を示し、熱処理したグリシニンは未処理のものに比べて架橋形成の程度が高かった。グリシニンの塩基性サブユニットは本架橋反応の基質となりにくいが、熱処理により酸性サブユニットと同様に架橋ゲル化の基質になりえた。グリシニンをN-エチルマレイミド存在下で熱処理すると紐状の細長い会合体をつくる。この会合体は、N-エチルマレイミド非存在下の熱処理でできる技分かれした小さなサイズのグリシニン会合体にくらべて、より高度な架橋ネットワーク構造を持つ弾力性のより強いゲルを形成した。リジン残基やグルタミン残基を異なるレベルで修飾したグリシニンについて、熱処理前後で架橋ゲル化を行い、形成されたゲルの物性を解析した。その結果、リジン残基やグルタミン残基の修飾度が高くなると形成されるゲルの粘弾性は低下するが、修飾したグリシニンをゲル化に先だって熱処理すると、形成されるゲルの粘弾がより高められた。 以上の結果は、トランスグルタミナーゼの架橋反応により形成されてくるタンパク質ゲルの物性を支配する要因として、本酵素反応に関与し得るタンパク質分子のリジン残基とグルタミン残基の量、および基質となるタンパク質分子の形状が重要であることを示した。
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