Project/Area Number |
05660249
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Agro-economics
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
加古 敏之 神戸大学, 農学部, 助教授 (00121533)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 公立の農業試験研究機関 / 農業技術革新 / 地域特性を生かした研究 / 農林水産業の発展 / 環境保全型稲作 / 減農薬米生産 / 現地試験 / 研究課題の設定 |
Research Abstract |
公立の農業試験研究機関、農業改良普及所、先進農家、県の農業研究行政担当部所等において農業技術革新のあり方に関する聞き取り調査やアンケート調査を実施した結果、以下のような暫定的な研究結果がえられた。 1.公立の農業研究機関における研究課題の設定に関して、農業改良普及員が要望するテーマと実際に実施している研究テーマとの間に相当のギャップが存在した。農業改良普及員は地域特性を生かした試験研究や現地試験の増加に対する強い要望をもっているが、公立の農業研究機関ではその重要性を認めているものの、予算、研究者数等の制約のためそうした研究は必ずしも十分なされていない場合がみられた。科学の発達にともなう研究の専門化・細分化により、公立の農業研究機関でも大学や国立の農業研究機関の研究と類似した研究を志向する傾向がみられる。 2.地域特性を生かした試験研究や現地試験を増加させるためには、研究課題の設定の過程で農民代表や農業団体、消費者代表等の試験研究に対する要望がより直接的に表明できるシステムの確立が望ましい。また、地域特性を生かした試験研究や現地試験を増加させるためには、農民や農業団体等が試験研究費を一部負担するシステムの導入も有効と思われる。さらに、公立の試験研究機関における研究活動や農業改良普及活動が農林水産業の発展や県民生活の質的向上にどの程度貢献しているかを評価する担当部所の明確化と評価方法の確立が望まれる。 3.環境保全型稲作の一事例として福岡市で展開されている減農薬米生産の実態調査を行った。昭和50年代末頃から稲作農民が農薬中毒にかかる危険を減らすことを第一の課題にして、農民と農業改良普及員の協力により始まった減農薬米生産は、福岡市の稲作の大半を占める程の広がりをみせている。減農薬稲作はその後水田の生態系を大切にした自然農法稲作へと発展し、合鴨・水稲同時作という無農薬稲作が近年急速に普及している。こうした減農薬、無農薬稲作技術は、まず稲作農民と農業改良普及員の協力により始まり、ついで県立試験場の研究者も協力するようになったという点が注目される。
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