Project/Area Number |
05670028
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
General anatomy (including Histology/Embryology)
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
薄井 紀子 帝京大学, 医学部, 助教授 (50082136)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 精子核 / 卵形質性因子 / 核膜崩壊 / 前核膜形成 |
Research Abstract |
卵子との膜融合により卵形質にとり込まれた精子核は、核膜の崩壊、染色質の脱凝縮と新核膜の形成により初期の雄性前核へと変化する。この変化に関与する卵形質性諸因子の中で精子染色質脱凝縮因子は分裂期の卵形質にのみ存在するが、その他の諸因子-核周囲鞘の離脱消失、核膜崩壊と再形成などを誘導する因子は、分裂期以外の卵形質にも存在するというのが著者らのこれまでの主張である。本研究により直接的証拠として下記の結果を得た。 1.成熟卵子に侵入後、核周囲鞘と核膜を失った精子核の表面には、中等度の電子密度を持つ「不定形物質」が半球状に浸出する像が見られた。一方、卵核胞期の未成熟卵母細胞や前核期の受精卵の場合は、高電子密度の「小球状構造」が精子核表面に並んで観察された。更に媒精30分後の卵を再媒精すると、第2の媒精による精子核の周囲に「不定形物質」と「小球状構造」がともに認められた。以上の事実から、核周囲鞘の消失や核膜崩壊を誘導する因子は分裂期以外の卵形質にも存在することが明らかになった。また核膜崩壊直後、染色質の脱凝縮直前に行われるある種の核物質の放出には、分裂期にのみ存在する卵形質性因子(MPF、CSF、染色質脱凝縮因子など)が、直接または間接に影響していることが示唆された。 2.前核期の受精卵に核膜を除去した精子核を1個ずつ顕微注入し、1および3時間後に超薄切片法で観察した。3時間後の凝縮したままの精子核の周囲には核膜が認められた。1時間後の場合は、核膜除去処理が強すぎたためか染色質の部分的脱凝縮が起こってしまった。しかし、その周囲には所々偏平な小胞は並び、分裂期以外の卵形質中でも、核膜を持たない精子染色質の周囲に新しい核膜が形成されることが明らかになった。分裂期以外の卵形質内では精子核膜は崩壊せず、後に凝縮したままの染色質の周囲に浮き上がって来るため、再形成されたように見えるという主張(Szollosi et al,'90,'94;Bedford,私信)に対する十分な反証として呈示する。
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