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¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
大内臓神経は胃,小腸,膵臓,肝臓,腎臓など腹部内臓からの痛み情報を中枢に伝える神経として知られている。今年度は幼若ラットを用い,脊髄に前根,後根,後根神経節,交感神経幹さらに大内臓神経をつなげた標本を作製し,内臓痛の研究をin vitroで行なうことを試みた。 大内臓神経にテタヌス刺激(20HZ,1.5〜3秒,40V)を加えると胸髄節前根(T9〜11)から約40秒間持続する脱分極性の反射電位が記録された。この反射電位の生理および薬理学的性質を明らかにするため反射電位を抑制あるいは増大する薬物の作用を検討した。モルヒネ(0.1〜3μM),メチオニン・エンケファリン(0.01〜3μM),ガラニン(0.1〜3μM),スコポラミン(0.01〜0.3μM)およびGR71251(0.3〜10μM),CP96345(0.3〜10μM)などのタキキニンNK-1受容体拮抗薬は反射電位を用量依存的に抑制した。メチオニン・エンケファリン(3μM)およびモルヒネ(2μM)適用により反射電位は著しく抑制(92±0.33%)され,その抑制はナロキソン(0.5μM)の適用により消失した。GR71251およびCP96345も反射電位を用量・依存的に抑制し,10μMにおけるそれぞれの抑制率は51I3.59%,81.5±4.55%であった。ガラニンおよびスコポラミンも一過性に反射電位を抑制したのに対し,カルチトニン遺伝子関連ペプチドおよびエドロフォニウムは反射電位を有意に増大した。 以上の成績から大内臓神経誘発反射電位は侵害反射電位の一つで内臓痛のモデルに見做すことが出来ると思われる。また,反射電位の発生にサブスタンスPおよびニューロキニンAなどタキキニンの他にアセチルコリン,ガラニン,エンケファリンなどの関与も示唆された。一方,GR71251,CP96345などの実験成績から電位発生にはNK-1受容体が関与していることが明らかとなった。
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