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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
サイトカインは医療への応用が期待される生物活性物質であるが,その機能は当初予想されていたよりも多彩であると考えられている.われわれは,ヒト顆粒球コロニー刺激因子(hG-CSF)の生体内機能を明らかにする目的でhG-CSFを強制発現するトランスジェニックマウス(以下hGCSF-Tg)を作成し,その造血幹細胞増殖機構について解析した. われわれが樹立したhGCSF-Tg系では骨髄系,赤芽球系,巨核球系のみならずT,Bリンパ球系の過形成がみとめられた.これは最も未分化な造血幹細胞から各種の前駆細胞までの著明な増殖によるものであることが判明した.因みに、本hGCSF-Tg系ではhG-CSF遺伝子が造血細胞および造血環境の両方で発現していた.次に,幹細胞の増殖が血球あるいは造血環境のどちらに,より強く影響されているかを明らかにするために,対照マウスとの骨髄移植実験を行なった.その結果,幹細胞増殖には造血環境でのhG-CSF発現が重要であることが明らかとなった.また,hGCSF-Tgをレシピエントとした場合には,移植に最低必要とされる骨髄細胞数の1/5で骨髄が再構築された.この結果は,本hGCSF-Tgの造血環境がin vivoで有効に幹細胞の増殖分化を促進させ,骨髄抑制に拮抗しうることを示している.生体内での造血幹細胞増殖をプロモートしうる本hGCSF-Tgの脾臓よりストローマ細胞株GS細胞を樹立した.GS細胞は無血清培養で長期間にわたりマウス幹細胞を増殖させることが可能であり,さらにヒト芽球コロニー,混合コロニーを増殖させることが明らかとなった.以上の結果,われわれの確立したhGCSF-Tg系はマウスのみならず,ヒト造血機構の解析にも有用であることが明らかとなった.
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