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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
造血幹細胞の増殖と分化はストローマ細胞によって調節されている.この調節過程において接着分子VLA-4/VCAM-1の相互作用が重要であることがいくつかの実験系から示唆されている.我々は既に作製したマウスのVLA-4,VCAM-1に対するモノクローナル抗体を用いて,造血系におけるVLA-4/VCAM-1の発現とその機能を調べるとともに,マウスVCAM-1のcDNAクローニングを試み,以下の様な成果を得た. 1.抗体によるFACS解析および免疫組織化学から,VLA-4は骨髄,脾臓,胸腺などの主要な造血組織の血液細胞に発現されており,特に幹細胞および前駆細胞に強く発現されている.一方,VCAM-1は血液細胞には発現されず,ストローマ細胞および血管内皮に特異的に発現されていることが分かった. 2.VLA-4抗体の添加によりリンパ球系およびミエロイド系細胞の増殖が阻害されたが,VCAM-1抗体の添加ではT・Bリンパ球の分化のみが阻害された.従って,VLA-4は幹細胞が種々の造血系へと分化していく際に広範に機能しているが,VCAM-1はリンパ球系前駆細胞の分化過程においてストローマ細胞上で機能していることが示唆された. 3.SRaプロモーターを用いた発現系を用いてマウスVCAM-1をコードするcDNAをクローニングすることに成功した.単離したcDNAは2種類(cMV6,cMV8)あり,それぞれ1.4kb,3.5kbのmRNAと対応する.抗体を用いた免疫沈降実験からマウスVCAM-1には107kDおよび42kDの2種類の蛋白が認められたが,COS細胞への遺伝子導入実験より,cMV6は42kD(S-VCAM)を,cMV8は107kD(L-VCAM)をコードしていることが分かった.得られたcDNAクローンの塩基配列から,L-VCAMは7個のlgドメインを持ち,ヒトVCAM-1と類似の構造を示すが,S-VCAMは4個のlgドメインをもつGPI結合型の分子であることが判明した.マウスにおける2種類のVCAM-1分子は単一の遺伝子のalternative splicingにより生じたものであることが強く示唆された.このGPI結合型のVCAM-1は他の動物種には認められず,マウスに特有なフォームであることも分かった.
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