ペンタクロロフェノールによる細胞膜障害機構とその抑制
Project/Area Number |
05670329
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Hygiene
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
伊規須 英輝 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (60108686)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | ペンタクロロフェノール / 赤血球膜 / 膜酵素 / アセチルコリンエステラーゼ / アルブミン |
Research Abstract |
ペンタクロロフェノール(PCP)は、洗浄したヒト赤血球を溶血させた。この時、反応液中のグルコースの有無は、溶血に影響しなかった。このことは、溶血が、赤血球の代謝障害を介したものではない可能性を示唆している。更に、赤血球膜標品とPCPを反応させ、膜を遠心分離すると、膜量に応じて、上清中のPCPは減少し、PCPが赤血球膜に結合することが考えられた(Brit.J.Indust.Med.50:378-9,1993)。これらから、PCPによる溶血は、赤血球膜への直接的作用による可能性が大きいと思われた。一方、ヒト赤血球膜で特に活性が高く、膜外面に存在することが確立されているアセチルコリンエステラーゼ(AchE)活性へのPCPの影響をみたところ、協同性の高い(Hill係数4〜5)抑制効果をもつことが明らかとなった。この協同性は、S-S結合を断裂させることによりさらに増加した(Biochem.Pharmacol.46:175-7,1993)。したがって、PCPによるAchE活性抑制は、その立体構造の変化を反映しうるものと考えられた。我々の調べえた範囲では、AchEに対しこのような効果を示す物質は今まで知られておらず、PCPが、本酵素研究に有用である可能性が考えられた。さらに、PCPの効果は、アルブミンにより強力に抑制された。限外漉過の結果、アルブミンがPCPを結合することが考えられ、これが、実際のPCP中毒とin vitroでの効果の差異の原因と思われた。この点については、内因性の「毒」性物質であるサイコシンの効果と対比させつつ、考察をおこなった(産業医科大学雑誌15:217-25,1993)。なお、このことは、PCP中毒の診断・予防等にも重要な意義をもちうるものと考えられるので、さらに詳細な分析を続けている。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)