炎症性腸疾患の腸粘膜におけるT細胞レパトアとサイトカインの解析
Project/Area Number |
05670472
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Gastroenterology
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 裕章 大阪大学, 医学部, 助手 (40252639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 秀次 大阪大学, 医学部, 助手 (20237423)
吉崎 和幸 大阪大学, 医学部, 助手 (90144485)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / クローン病 / 潰瘍性大腸炎 / T細胞レパトア / サイトカイン |
Research Abstract |
1.炎症性腸疾患の腸粘膜におけるT細胞レパトア:内視鏡下生検標本あるいは外科的切除標本から直接AGPC法でRNAを抽出し、RT-PCR法とサザンブロット解析にてT細胞受容体Vβ領域の解析を行った。その結果クローン病(以下CD)8例では、大腸・小腸、病変部・非病変部を問わず全例でVβ2、12、13が高率に発現していた。SSCP法によりこれらはoligoclonalであることがわかった。一方、潰瘍性大腸炎(以下UC)3例の病変部・非病変部、大腸癌・大腸ポリープ8例の健常部ではこのようなT細胞レパトリアの偏りは認められなかった。CD患者の末梢血リンパ球にも偏りはなかった。このことより、CD腸粘膜では何らかの抗原刺激によるT細胞の活性化が起こっていることが強く考えられる。また、病変部・非病変部を問わないということは、まず第一にT細胞レパトアに偏りが生じ、そのあと肉眼的な病変に至るにはさらに次のステップが必要なことを示唆する。 2.炎症性腸疾患腸粘膜のサイトカイン:1.と同様にしてCD8例、UC6例、大腸癌・大腸ポリープ7例からRNAを抽出し、RT-PCRの後アガロースゲル電気泳動でのEt-Br染色の濃度からサイトカインのメッセージ強度を調べた。なお、各サンプルはβ-actinの発現が一定になるように調整した。その結果、炎症性腸疾患の病変部ではIL-1β、IL-6、IL-8等マクロファージが産生するサイトカインのmRNAの増加が認められたが、CDとUCとの間に差は見られなかった。M-CSFはCDで病変部、非病変部とも強い傾向が見られ、肉芽腫の形成に関与しているものと思われる。今後はメッセージの局在性の違いも検討する必要があると考えている。 3.サイトカインのin situ hybridization:CD切除標本においてのみ、漿膜側の血管内皮細胞にIL-6mRNAの強い発現がみられた。これはCDの病変形成に腸管の血管炎が関与している可能性を示唆するものと理解できる。
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Report
(1 results)
Research Products
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