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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
胃壁細胞において,H+/K+-ATPase(HKA)とヒスタミンの合成の律速酵素であるヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)について,その遺伝子発現の機構を胃酸分泌に深く関与するガストリンとソマトスタチンの変動とともに検討した。 1.ラットを用いヒスタミンあるいはガストリンを静脈内に単独持続投与し,更にH2-blockerであるfamotidine(FAM)の併用投与も行った。血清ガストリン値,胃内pH,胃粘膜内のHKA mRNA濃度,ガストリン,ソマトスタチンのpeptideとmRNAの濃度を測定した結果,ヒスタミン・ガストリンの投与により胃体部粘膜のHKA mRNAは著しく増加するもののいずれもFAMの併用投与で完全に抑制され,壁細胞におけるHKAの合成は主として壁細胞のH2受容体を介する刺激により増加しており,ガストリンはECL細胞におけるHDC活性の増加とそれに伴うヒスタミン合成・分泌の増加を介してHKAの合成を刺激しているものと考えられる。また,電子顕微鏡による超微形態の検討により,壁細胞の休止期から被刺激期への変換も受容体を介する刺激により調節されていると考えられた。 2.ラットにproton pump inhibitorのひとつであるomeprazole(OPZ)とともに,制酸作用とともに血清ガストリン上昇抑制作用が報告されているpirenzepine(PZP)を併用投与し,血清ガストリン値,胃粘膜内のHKA mRNA,ガストリンとソマトスタチンのpeptideとmRNAの濃度を測定した。PZPの併用投与により,OPZ投与により認められる血清ガストリン値の上昇が有意に抑制されるとともに胃体部粘膜内のHKA mRNAの合成が著明に抑制された。このとき胃粘膜のソマトスタチン濃度の上昇が同時に認められることにより,このPZPの作用にはソマトスタチンの関与が示唆された。 尚,1と2の実験系におけるHDC mRNAの変動については現在測定中である。
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