膜電流解析を用いた肥大心における虚血性不整脈の発生機序とその予防に関する検討
Project/Area Number |
05670586
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Circulatory organs internal medicine
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
甲谷 哲郎 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (70205350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
當瀬 規嗣 北海道大学, 医学部, 助手 (80192657)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 心肥大 / 肥大退縮 / アンジオテンシンII受容体拮抗薬 / パッチクランプ法 / SHR / 一過性外向きKチャネル(I_<to>) / 虚血性不整脈 |
Research Abstract |
近年、多くの降圧薬が臨床応用され、血圧の降圧自体は比較的容易になったものの、突然死予防の観点から降圧薬の選択はなされていない。そこで我々は降圧薬が降圧に加えて突然死の原因となり得る虚血性不整脈も防止できるかという点に着目し実験を開始した。その結果アンジオテンシン変換酵素阻害薬およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬が、心肥大退縮とともに虚血期の電気的不均一性を是正し、虚血性不整脈防止効果もあることを示した。すなわち、降圧薬の一部は肥大心に存在する膜電流異常を是正することにより、致死的不整脈の抑制に寄与する可能性が示唆された。そこで今回の研究では、肥大心の易不整脈性の根本原因に迫るために、(1)単一心筋細胞レベルでの膜電流異常を肥大心において、パッチクランプ法を用いてより詳細に検討すること、(2)降圧治療後の肥大退縮が膜電流に与える影響を検討すること、を大きな目的と設定した。その結果、高血圧自然発症ラット(SHR)より酵素処理を施し単離した単一肥大心筋細胞においてパッチクランプ法でKチャネルを解析したところ、一過性外向きKチャネル(I_<to>)の減少が観察された。肥大心では活動電位幅が延長していることは既に示したが、本研究でみられたI_<to>の減少がその活動電位幅延長の原因をなしていることが推測された。さらにアンジオテンシンII受容体拮抗薬を既に肥大の完成しているSHRに慢性投与して作成した退縮心より得た単一細胞においてKチャネルの解析を行ったところ、遅延外向きKチャネル(I_K)の増大が新たに発現することを観察した。これは、イオンチャネルからみると肥大退縮過程は肥大形成過程の単なる逆コースではないという極めて注目すべき結果である。現在、この点に関してはより詳細な解析を進めているところであり、今後本研究により、肥大心での致死的不整脈発生機序とその防止法が明らかにされ、臨床的高血圧治療における降圧薬選択に突然死予防の観点から有用な情報を付け加えることが出来るものと考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
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