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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
BrdU免疫組織化学法による毛器官における細胞動態の検討では,ヒト,マウスともに,成長期毛球部内の毛乳頭を囲む数層と毛球最外側下方に,また,毛球直上の外毛根鞘に多数のS期細胞を認めた。後者のS期細胞は上方に辿ると次第に数を減じた。マウス毛周期では,成長期末期に先ず毛球部がBrdU染色陰性となり,続いて外毛根鞘下部が陰性となり,毛球を含む毛器官下部が退行し始めることが明らかとなった。マウス毛発生各段階における毛器官の細胞動態は,初め毛芽に集簇したS期細胞が毛杭形成につれ主に2つのグループに分かれ,1つは毛杭側面に分布して発生毛器官の伸展に関与し,もう1つは毛球部に位置して毛器官内部の各層の母細胞となることが判明した。抗毛ケラチン単クローン抗体による免疫組織化学法および電子顕微鏡的観察では,各時期の細胞分化の状態は以前に本研究者が報告したごとくであった。一方,マウスの発生毛器官より上皮細胞を分離し細胞培養を行ったところ,ウシ下垂体抽出物添加培地にて有意の増殖がみられ,また,培養3日目の未分化細胞が6日目までに毛器官各層に相当する細胞分化を電子顕微鏡的に示した。この分化は,抗毛ケラチン単クローン抗体による免疫細胞化学法でも確認された。また,同様の効果は線維芽細胞成長因子を添加した培地でも観察された。さらに,培地中にミノキシジルやセファランチンを加えると,細胞数のいっそうの増加が観察された。 今回,in vivoでの毛器官上皮細胞の細胞動態が毛器官の発生や毛周期において詳細に解明され,また,同細胞のin vitroでの培養条件が確立し,毛器官の細胞増殖に対する種々の因子の作用をin vivoおよびin vitroで検討することが可能となった。今回の成果は,今後の毛器官の細胞生物学の研究や様々な毛器官疾患の病態の研究に,重要な方法論および基礎データを提供していると考えられる。
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