Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
各種疾患をT細胞のレパートリィの面から検討する目的で,PCRと温度勾配ゲル電気泳動(Temperature gradient gel electrophoresis,TGGE)法による新しいクローン解析法の導入を試みた. T細胞の抗原受容体γ鎖遺伝子V領域・J領域で共通プライマーオリゴマーが設定可能である部位を探し,そのオリゴマーセットを用いてPCRを行なった後に,65-85度の温度勾配をかけてTGGEを4時間250Vで行なった.遺伝子再構成があることが判明しているT細胞性白血病細胞株,および臨床検体で単一なバンドが検出されたが,通常の健常人末梢血のDNAではsmearしか認めなかった.白血病細胞の検出感度は0.1-1%であった. 連続希釈した検体でPCR産物の塩基配列を検討したところ,正常リンパ球に由来する再構成塩基配列をバックグラウンドとして含んでいたことから,高感度で単クローン性の腫瘍細胞を検出することができた理由は,オリゴマーの特異性が腫瘍細胞の再構成遺伝子の増幅に有利であったためではなく,PCR産物のDNA断片がサイズと塩基組成の相違によって分離できたためであると結論した.すなわち,バックグラウンドの塩基組成が異なる再構成産物は拡散により消失し,クローン性の再構成バンドだけが明瞭に観察されたと考えられた. 各種疾患での検討では,成人T細胞性白血病・リンパ腫の症例で末梢血液に異型細胞が出現していないにもかかわらず,この方法によってはじめて腫瘍細胞クローンの存在が示された例があった.従来のT細胞クローンのPCR法による臨床検体の解析では,正常リンパ球に由来するバックグラウンドの再構成産物も同様に増幅され,クローン性の再構成と区別できない欠点があったが,本法によりその点が解決された.現在までのところ骨髄移植後で異常クローンが出現した症例は認めていないが,症例を増やして検討中である.
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