Project/Area Number |
05670922
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Hematology
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松下 修三 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (00199788)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | ATL / HTLV-I / 潜伏感染 / 再活性化 |
Research Abstract |
HTLV-1はATLだけでなく、HAMや関節炎、ぶどう膜炎などの多臓器病変を起こすことがわかってきた。しかし、HTLV-1がそれらの病変をどのようにして起こすかについては未だ不明のままである。その原因の1つは末梢血中にあるHTLV-1感染細胞の多くが潜伏感染の状態にあることにある。この潜伏感染から再活性化に至る機構の解析はHTLV-1の病原性解明の重要な手がかりとなると考えられる。 我々はこれまでにHTLV-1陽性でありながらウイルスRNA及び蛋白が検出されない細胞株3Se6を樹立した。3Se6は患者の腫瘍細胞と同じproviralDNA integrationとT細胞レセプター再構成バンドが観察され、腫瘍細胞と同じクローンと考えられた。またPMA下に培養するとウイルスRNA及び蛋白の発現が認められた。PMAよって再活性化されたHTLV-1は、HOS細胞に合胞体を形成させる能力と、正常T細胞を腫瘍化させる能力があることがわかった。新たに腫瘍化した細胞ではHTLV-1の発現がみられた。これらのことから3Se6におけるウイルスの潜伏感染はウイルス側ではなく細胞側の因子によっていると考えられた。 我々は更に潜伏感染機構を調べるため、欠失変異をもつ数種のHTLV-1-LTR-CATを用いてCAT assayを施行し、転写レベルでの解析を行なったが、これまでの結果ではT細胞コントロールと比較しても有意な違いを認めなかった。またHTLV-1-LTRの2lbp結合蛋白(CREB、ATF-1、Ets-1反応性領域結合蛋白)についてもゲルシフトアッセイ法にて解析したがPMA刺激による明らかな差異は認められなかった。(いずれもpreliminary data)これらのことから潜伏機構とHTLV-1-LTRの関係はいまだ明瞭ではないが、更に実験系を改善して検討を続けている。また最近京大グループより提唱されたプロモーター/エンハンサーであるHIRE(HTLV-1 Internal Regulatory Element)-CATを作製し潜伏との関わりを検討中である。一方、pX領域にコードされる蛋白はこれまで既にp40^<Tax>、p27^<Rex>、p21^<Rex>が知られていたが、Franchini.Gら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.89:8813,1992)により更にp12、p13、p30の少なくとも3種類の蛋白が存在することがわかってきた。この中でp12はtransformationとの関与が示唆されており興味深い。我々は3Se6をPMAで再活性化して発現するsubgenomic viral RNAを解析することにより、(1)Hidaka.Mら(The EMBO Journal 7:519,1988)により示されたヒト上皮細胞でのsubgenomic viral RNAの経時的な発現様式をATL患者由来細胞である3Se6において再確認し、(2)pX領域由来のRNAをRT-PCR法により検出し、潜伏感染及びその再活性化との関与の有無について新しい蛋白をコードするmRNAも含めて現在検討中である。
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