肝虚血再潅流障害への細胞内カルシウムの関与-障害機序の解明と保護法の開発-
Project/Area Number |
05671006
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
General surgery
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上池 渉 大阪大学, 医学部, 助手 (40152847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 重臣 大阪大学, 医学部, 医員
井上 徹 大阪大学, 医学部, 助手 (30221782)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 虚血障害 / 再潅流障害 / カルシウム / 肝保存 / ミトコンドリア / サイクロスポリン |
Research Abstract |
〔ミトコンドリアからのカルシウム放出による保存肝の障害〕 絶食ラットより作成した潅流肝において、30分間各種ホルモン(ノルアドレナリン、グルカゴン、バゾプレッシン、アンギオテンシン)を組み合わせて投与した。われわれはこれらのホルモンが細胞内、特にミトコンドリアのカルシウム含量と虚血時のカルシウム放出量を変化させうることをすでに見いだしているが、この肝をUW液またはEC液にて24時間保存後、再び潅流し、胆汁流量、酵素漏出量、ATPの回復レベル、尿素合成量、糖新生量を測定した。すなわち保存前の細胞内カルシウム貯蔵量および保存中の細胞質カルシウムレベルの変動が保存肝の障害にどのように関与するかを評価した。これらの実験によって、保存中の細胞内貯蔵カルシウムの細胞質への放出によって保存肝が傷害されること、従って、細胞内カルシウム濃度上昇による保存肝の障害を防ぐには、保存液からのカルシウム除去のみでは不十分であり、細胞内(肝においてはとくにミトコンドリア)の貯蔵部位からの放出を抑制する必要があると考えられる。この観点から、カルシウム拮抗剤、カルシウムキレート剤を前投与し細胞内カルシウム貯蔵量を抑制した後、肝を冷保存すると、保存後再潅流時の胆汁流量、酵素漏出量、ATPの回復レベル、尿素合成量、糖新生量はいずれも改善していた。 〔再潅流障害へのカルシウムの関与〕 単離ミトコンドリアにおいて一定時間無酸素でincubationした後、再酸素化を行うと、無酸素を続けるよりも大量のカルシウムとマトリックス酵素が漏出した。この再酸素化時にミトコンドリア外のカルシウム濃度を種々に変化させると、酵素漏出量、ミトコンドリア呼吸調節率、ATP量で評価されるミトコンドリア障害はカルシウム濃度依存性であった。また、サイクロスポリンおよびカルシウムキレート剤の投与によって、再酸素化時の酵素漏出量、ミトコンドリア呼吸調節率、ATP量は改善した。これらの実験によって再潅流障害の過程にミトコンドリアへのカルシウムの取り込み、放出が関与しており、サイクロスポリン、カルシウムキレート剤によってこれを抑制すれば、再酸素化障害そのものが抑制されることが示された。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)