Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
人およびモルモットを対象にし,compound action potential(CAP)の順応現象の特性,並びに難聴耳での本現象の特徴を検討した。平成5年度は主として人を対象にした研究を施行し,以下の結果を得た。〈結果〉1,クリック列を音響刺激に用いて人の鼓室内からCAPの順応現象を記録できた。2,本現象は,クリック列のクリック間々隔(△T)の函数として変化した。△Tが短い程,本現象は著明に生じ,△Tが50mS以上になると生じにくくなった。3,本現象は刺激強度の変化には影響されにくい事が判明した。4,純音又は狭帯域雑音の負荷実験で,本現象は4kHz以上の高周波数音域でのマスキングでは生じにくい事,即ち周波数選択性を有す事が判明した。 モルモット使用の動物実験でもほゞ同様の結果を得た。 更に難聴耳について行った成績では,5,内耳性難聴(特に有毛細胞性障害)耳では本現象は生じにくかった。6,聴神経腫瘍耳では,本現象にみられる時間経過によるCAPA振幅の減衰パターンに異常を示すものが数例記録された。 〈結論〉CAP順応現象の発現には,蝸牛特に有毛細胞が係わる事が結果4,5から推定される。たゞ結果6からは,遠心系神経機構の関与が否定できず動物実験を加えた更なる検討を平成6年度に予定している。 結論的に本現象の緻密な分析結果は感音難聴の部位別診断並びに病態診断に重要な役割りを演ずる事が示唆された。
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