Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
歯根膜組織のコラーゲン代謝調節機構には,各種の成長因子やサイトカインおよび上皮性の細胞が分泌する種々な物質が関与している可能性があると考えられる。そこで,各種成長因子(PDGF-AA,PDGF-BB,TGF-beta,IGFおよびEGF)による歯根膜細胞のコラーゲン代謝様相の変化を,コラーゲン、コラゲナーゼおよびコラゲナーゼインヒビターの遺伝子転写レベルでの調節から明らかにする目的でin situハイブリダイゼイションあるいはノーザンブロット解析から,ヒト歯根膜細胞のコラーゲン代謝を遺伝子の発現量から検討した。 コラーゲン遺伝子の発現は,TGF-beta添加時に最も多く,ついでPDGF-BB,IGF,EGFの順に発現量の増加をみたが,PDGF-AAでは無添加と同程度の発現量であった。本来TGF-betaの作用は細胞数の増加に伴う合成量の増加も考えられたが,24時間incubate後では細胞数増加は認められず,TGF-betaは歯根膜細胞のコラーゲン転写レベルの促進を促したものと考えられた。一方,コラゲナーゼについては,PDGF-BBによる発現量が最も多く,ついでEGFであったが,PDGF-AA,TGF-betaおよびIGF添加時はコラゲナーゼ遺伝子発現を抑制した。また,コラゲナーゼおよびコラゲナーゼインヒビター遺伝子の発現は,IGF添加で抑制された。 以上の結果から,TGF-betaはヒト歯根膜細胞のコラーゲンおよびコラゲナーゼインヒビターの遺伝子発現を促進させ,コラゲナーゼ遺伝子発現を抑制したことから,コラーゲン代謝において分解を抑制する方向に働いていることが示唆された。一方,PDGF-BBによるコラゲナーゼ遺伝子発現量が強く,コラーゲン代謝を分解系に傾ける働きのあることが示唆された。IGFは歯根膜組織の基質成分であるコラーゲンの合成に深く関わっていることが推察された。
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