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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
ストレスによる脳内モノアミン神経系活動の変化と,歯科麻酔科臨床で,静脈内鎖静法に広く用いられているベンゾジアゼピン系薬の作用機構を検討した.当該年度は,実験動物としてSD系ラットを用い,不安や恐怖などのいわゆるnegative emotionの発現に重要とされる扁桃体外側基底核ならびに大脳皮質内側前頭前野のモノアミン神経活動の変動と,さらにベンゾジアゼピン系薬のこのモノアミン神経活動への修飾をマイクロダイアリシスによって観察した.不安や恐怖状況は,OgawaらのCommtunication boxを用いたPsychological stressと,今回新たに作成したConditioned fear boxを用いたConditioned fear(恐怖条件付け)による,痛みや拘束などの直接の身体的因子を除いたパラダイムによって作成した.また投与するベンゾジアゼピン系薬には現在,歯科麻酔科で最も多用されているmidazolamを選択した.その結果,1.Psychologiocal stressあるいはConditioned fearにより扁桃体外側基底核(以下BLA)と大脳皮質内側前頭前野(以下PFC)でセロトニン(以下5-HT),ノルアドレナリン(以下NA)細胞外量が増加する. 2.midazolam静脈内投与によってBLAの5-HT,NA細胞外量は0.1mg/kgではともに有意の変動を示さず,0.3mg/kgで有意に減少する.3.Psychologiocal stressあるいはConditioned fear負荷直前に.midazolam 0.1mg/kgを静脈内投与すると,Psychologiocal stressあるいはConditioned fearによる5-HTとNA細胞外量の増加は抑制される.以上の研究結果を得た.これらの知見から,ストレス時にBLAやPFCなどの特定の脳部位のモノアミン神経活動が亢進し,ベンゾジアゼピン系薬(midazolam)はこれらの脳部位でのモノアミン神経活動の亢進を抑制して抗不安作用などの中枢神経系作用を発現することが示唆された.
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