分子動力学シミュレーシヨンによる生体高分子の新しい立体配座解析法の研究
Project/Area Number |
05671790
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical pharmacy
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
広野 修一 北里大学, 薬学部, 助教授 (30146328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中込 泉 北里大学, 薬学部, 助手 (30237242)
山乙 教之 北里大学, 薬学部, 助手 (60230322)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 計算機実験 / 分子動力学計算 / 生体高分子 / 溶液構造 / 3次元構造解析 |
Research Abstract |
コンピュータで蛋白質の1次構造から3次構造を造り出す試みは、他の実験的な方法に比べて実際の物質が得られていない場合でも逐行可能であるという利点をもつが、生体高分子のような複雑な分子では、多くのエネルギー極小点を持つため、その中からいかにして最安定構造を見いだすかが問題となる。この問題を克服するための計算手法として我々は、溶液状態でのシミュレーシヨンにおいてあらわな昇温過程を含むことなしに効率良く分子の配座空間を探索できるような分子動力学法の手法(ポテンシャル減衰分子動力学法)を考案し、トリペプチド分子のモデル系を用いて、配座空間の探索に非常に有効であることを示した(J.Phys.Chem..97,4416(1993))。さらにこの方法に、新規に考案した高温溶質分子動力学法を組み合わせて、エンテロトキシンSTpの溶液構造の構築を試みた結果、NMRから得られた構造をほぼ再現できることがわかった(Biophysical J.投稿中)。 我々の考案したポテンシャル減衰分子動力学法は、分子力場のある特定のポテンシャルエネルギーをスケーリングすることで効率良く配座空間の探索を行う計算法であり、高温溶質分子動力学法は、溶質と溶媒をそれぞれ別の熱浴とカツプリングさせ溶質のみを加熱し、配座空間の探索効率をより高めることを目的としたものである。これらの方法の利点としては、系の溶媒の温度はそのままであるため、溶媒分子の運動性が高まることによる様々な問題(溶媒の蒸発等)を回避できることや、スケールダウンしたポテンシャルを徐々にアップし、かつ、溶質の温度を徐々に下げていけばsimulated annealingと同様の効果も期待できることなどが挙げられる。このような計算機手法により、実験では解析が困難な生体分子の立体構造の解明が期待できる。
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Report
(1 results)
Research Products
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