Project/Area Number |
05671856
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Biological pharmacy
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
伊藤 文昭 摂南大学, 薬学部, 教授 (80111764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝本 さゆみ 摂南大学, 薬学部, 助手 (80178920)
伊藤 道恭 摂南大学, 薬学部, 助手 (30201932)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 肝細胞増殖因子 / 上皮増殖因子 / カドヘリン / beta-カテニン / コラーゲン / 胃癌細胞 / 細胞間接着 / 細胞運動性 |
Research Abstract |
上皮増殖因子(EGF)、肝細胞増殖因子(HGF)などの増殖因子は、細胞の増殖や運動性を制御することにより、組織の形成と維持に働いている重要な生理活性物質である。また、増殖因子は癌で見られる異常な細胞増殖や、転移における癌細胞の運動性の促進においても関与することが考えられている。EGF、HGFはいずれもチロシンキナーゼ型の受容体への結合を介して作用を発現することが明らかになっている。さらに、受容体結合後の増殖促進の細胞内情報伝達経路についても研究が進んでいるが、細胞運動促進機構の解明は遅れている。本研究では上皮系のヒト胃癌細胞株(高分化型MKN74,低分化型TMK-1)を使用して、EGF、HGFが運動性を促進する機構を研究し、以下の結果を得た。 (1)これら胃癌細胞は細胞同士が強く結合し、細胞集塊を形成しているが、EGF、HGF処理により集塊の分散が観察された。(2)EGF、HGF共に、E-カドヘリンの機能を制御しているbeta-カテニンのチロシンリン酸化を引き起こした。E-カドヘリンは上皮細胞間の接着を制御しており、これらの増殖因子はこのリン酸化を惹起することにより細胞間の脱着を起こしたと考えられる。(3)Boyden chamber assayにより細胞運動性を調べたところ、いずれの増殖因子も運動性の促進作用を示した。また、コラーゲン、フィブロネクチンなどの細胞マトリックスへの細胞接着実験により、EGF、HGFは共に、細胞の細胞外マトリックスへの接着を促進することがわかった。さらに、細胞外マトリックスへの接着に伴って起きるFocal adhesion kinaseのチロシンリン酸化が、これら増殖因子により引き起こされた。以上の結果から、EGF、HGFにより細胞運動が促進される一つの理由は、増殖因子により細胞のコラーゲンなどへの接着性が促進されるためであることが明らかになった。
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