Project/Area Number |
05671910
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
応用薬理学・医療系薬学
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
竹内 孝治 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (00150798)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 内皮由来弛緩因子 / nitric oxide / NO合成酵素阻害薬 L-NAME / 胃・十二指腸アルカリ分泌 / 胃酸分泌 / 胃粘膜保護作用 / 適応性反応 |
Research Abstract |
著者らは、胃・十二指腸機能の調節系における内皮由来弛緩因子であるnitric oxide(NO)の関与を検討する目的で、特に胃粘膜保護作用、胃・十二指腸アルカリ分泌、および胃酸分泌に対する内因性NOの影響について、NO合成阻害薬であるN^G-nitro-L-arginine(L-NAME)を用いて調べ、以下の成績を得た。 NO合成の基質であるL-arginineは、経口投与によってのみ胃粘膜保護作用を示した。この作用は、D-arginineの経口投与でも同様に認められ、またインドメタシンの前処理により拮抗されたが、L-NAMEの前処置によっては影響されなかった。L-arginineの胃内適用は、胃粘膜電位差(PD)の減少、粘膜血流の増大、胃内のpHの上昇、および胃運動の抑制を誘起したが、これら全ての変化もインド メタシンの前処置により拮抗された。L-arginineは胃粘膜に対してマイルドイリタントとして作用し、内因性プロスタグランジン(PG)を介した適応性胃粘膜保護作用を発揮するものと推察された。 2.L-NAME(5mg/kg)を静脈内に投与することにより、明瞭な血圧上昇と共に胃・十二指腸のアルカリ分泌を著明に促進することが判明した。この作用は、他のNO合成阻害薬であるL-NMMAでも再現されるが、D-NAMEでは認められず、L-arginineあるいはNO供与体であるnitroprussideの同時投与により拮抗された。また、L-NAMEのアルカリ分泌促進作用は、迷走神経切断に加え、プラゾジン、ヨヒンビンなどのalphaの遮断薬によっても有意に拮抗された。その他、L-NAME投与下における血圧および心拍数変化の測定より、L-NAMEによるアルカリ分泌の促進は、血圧上昇に端を発する神経反射が関連しており、結果的に迷走神経を介して発現するものと推察された。 3.高張食塩水の胃粘膜適用により、PDの減少と共に酸分泌抑制に起因する著明なpH上昇が認められる。この反応はL-NAMEの前処置により強く抑制されることが判明した。勿論、この作用もL-arginineの同時投与により拮抗され、D-arginineでは影響されなかった。これらの結果より、胃粘膜における傷害発生は局所でNOの産生を促し、結果的に酸分泌を抑制することにより胃内をアルカリ化に導き、組織の修復機転に寄与していることが推察された。
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