血管の細胞接着蛋白質と対応する結合糖鎖を利用したがん転移の予測診断法の開発
Project/Area Number |
05671937
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Laboratory medicine
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
神奈木 玲児 愛知県がんセンター, 研究所病理学第二部, 部長 (80161389)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 血行性転移 / 細胞接着 / 大腸癌 / シアリルLe^x / シアリルLe^a / 血中E-セレクチン濃度 |
Research Abstract |
E-セレクチンを介した細胞接着は、癌の血行性転移において、癌細胞の血管内皮細胞との接着に関与している。このためE-セレクチンのリガンドであるシアリルLe^xやシアリルLe^aの発現している癌細胞は転移を起こしやすいと考えられる。一方、癌患者の体内の血管でE-セレクチンがどの程度発現されているかも、担癌患者の血管の側の要因として、癌の転移の成立に寄与している可能性がある。我々は、血中のE-セレクチンの濃度は、患者の体内の血管にどの程度にE-セレクチンが発現されているかを判定する目安に利用できると考えこれを測定した。 測定してみると、健常人の血中にも有意のE-セレクチンが検出された。このことは、健常人でも、体内の血管のいくらかは、恒常的にE-セレクチンを発現していることを示している。 シアリルLe^aやシアリルLe^xが陽性の癌細胞を持つ患者では、血管内皮細胞にE-セレクチンが強く発現している状態は、転移の危険因子(リスクファクター)が高い状態と考えられよう。反対に、いくら癌細胞がリガンド糖鎖陽性でも、血清E-セレクチンが正常範囲内の患者では、癌の転移が起こる危険性は、これに比べると低いからであろう。 血行性転移の有無と、以上の二つの危険因子との関係を、大腸癌患者でみると、癌細胞のリガンド糖鎖と血管E-セレクチン発現の両因子がともに陽性の患者では8名中7名と高率に転移を有し、癌細胞のリガンド糖鎖のみ陽性の患者9名中4名が転移を有する。血中E-セレクチン高値のみの患者では9例中3例に転移がみられた。これに対して両方とも陰性の患者では28名中7名に転移を見るにすぎなかった。セレクチンに関連した危険因子の増加とともに血行性転移が増加する傾向にあると考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)