Research Abstract |
食を含む近接生活環境が個体の行動(行動量,行動力,行動リズムなど)にどのように関わっているかは,生活を研究対象としている家政学において,学問的のみならず社会的にも極めて重要な課題である。しかし,その重要性にもかかわらず行動の定量的解析法の進展は遅い。そこで,本研究では,複雑な要素の多過ぎるヒトについて調べる前に,基礎実験としてより単純なラットやマウスをとり挙げ,一日のエネルギー代謝の1分間隔での連続測定値を基にして,種々の行動指標値を算出するプログラムを独自に開発した。さらに,アニメックスのカウント数による運動量とビデオの映像解析による行動描写(本年度補助金により購入した装置を改良した運動解析システムによる)を前述の定量的に数値化された指標値に加えて,通常の飼育箱中における小動物の一日の行動を測定する方法を確立した。 実験動物についていえば,栄養や遺伝に関係する標準化のみならず動物が置かれている生活環境の標準化が基本的問題であるが,狭いケージ内で単調な食事を与えられており,現在のところ,最適条件にほど遠いのが実情である(「行動学の可能性一動物とヒトの行動」M.W.フォックス著,今泉吉晴訳,思索社1990年)。本研究で開発された方法によって小動物が食を含む一定の生活環境下でいかに生き生きと生活しているかを測定でき,この新しい基準(全消費エネルギー,全活動量,外部活動量,内部活動量,活動負担度,活動力,活動変化度,安静時間,日内リズムなど)に基づいて,食を含む生活環境を評価し,より適した条件を検索,設定できるようになった。
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