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¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
周氷河地域の岩屑斜面では凍結融解作用が強力に働き,平滑な凸型斜面が発達するといわれている.この凍結・融解に伴う岩屑斜面の変形機構を解明するために,野外用のデータロガーを用いて,斜面変形,地表での凍上,地温,土壌水分の変化の長期連続観測を実施した.赤石山脈の高山帯(標高2800〜3100m)に,積雪の少ない西向きの細粒土からなる急斜面(斜面A),粗粒土からなる急斜面(斜面B),および細粒土からなる緩斜面(斜面C)の3カ所の観測斜面を設定し,斜面傾斜と土質の違いが斜面変形に及ぼす影響を評価した.このうち,斜面B・Cでは,1993年夏に観測を開始したばかりなので,まだ記録は取得されていないが,1990年に観測を開始した斜面Aにおいて,次のような結果が得られた. (1)10〜11月,5〜6月の2つの時期に,日周期性の凍結・融解(深度15cmまで)が頻繁に発生し,それに伴って最大3cmまでの凍上・沈下の繰り返しが起こる.この期間の夜間から早朝にかけては,凍上量に相当する厚さのアイスレンズが形成されている.降雨のあった直後に,土壌水分が増加し,とくに大きい凍上が発生する.凍上・沈下に伴って,地中の浅い部分では物質が移動する. (2)12〜4月にかけての季節的凍結期には,1m以深まで凍結が及ぶ.しかし,この年周期性の凍結・融解に伴う凍上・沈下ならびに斜面変形は非常に小さい.これは,岩屑層が数10cmと浅く,それより深部での凍上が発生しにくいためと思われる. これらの結果より,調査地域では日周期性のフロストクリープが卓越し,表層部の物質移動を引き起こしているといえる.観測は今後数年間継続し,斜面変形機構をさらに詳細に調べる予定である.
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