Research Abstract |
数学における学習意欲を中核とした数学に対する情意的特性を簡便でかつ客観的に評価できる用具として,情意的特性の意味,要因,構造に基づいて,15要素45項目からなる質問紙検査を作成した。これをShimane-ACTM(島根式数学に対する情意的特性検査:Shimane Affective Characteristics Test toward Mathematics)と呼んでいる。 ACTMは,(1)数学に対する自己概念(自己満足,優越劣等感,自信の3要素),(2)数学における達成動機(自主性,内的成功への欲求,外的成功への欲求,達成活動の傾向,達成志向の価値,成功の重要性の認識の6要素),(3)数学不安(失敗回避動機,緊張感,授業参加不安の3要素),(4)数学に対する態度(好意性,思考の楽しみ,学習の価値観の3要素)の4側面15要素を測定するようになっている。 このACTMを福岡,長崎,大分,熊本,宮崎,鹿児島の各県の中学生に実施し,暫定的に標準化された尺度を構成した。この尺度は,ACTM診断プロフィールと呼ばれ,15の各要素の得点が,正規分布をしていると仮定してA(十分満足である),B(おおむね満足である),C(努力を要する)の3段階の基準得点が示されている。また,4の各側面の得点は,5段階に分けられ、その基準得点が示されている。信頼性,妥当性を相関分析,因子分析,項目分析等を用いて検討した。 その結果,ACTMは,教育現場で簡単に実施でき,数学に対する情意的特性を客観的に評価できる評価用具である事が明らかにされた。
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