Research Abstract |
研究の目的の第一は,プラズマ中の化学反応を利用して基板上に薄膜を堆積させることであり,第二は,それと大電流プラズマとの相互作用をしらべることである。 第一の目的はいわゆるプラズマCVDのプロセスであり,実験ではメタンガスを用いて低温プラズマを生成させ,シリコン基板上に炭素薄膜を堆積させるものである。低温プラズマの生成には熱陰極および冷陰極グロ・放電が用いられる。メタンガスはマスフローコントローラを用いて真空気に導入され,熱陰極放電では10^<-2>〜10^<-3>Torr,冷陰極放電では10^<-1>〜1Torrの圧力で直流放電を維持する。得られるプラズマのパラメータは探釘法を用いて測定され,電子密度としては10^<10>/cm^3のオーダーである。 得られた炭素薄膜の表面分析にはオージエ電子分光,走査電子顕微鏡およびX線回折法を用いる。オージエ電子分光によって熱陰極放電ではCのみが観測された。冷陰極放電では、C,N,O,Siが観測されたが,これは真空度が低いためと考えられる。走査顕微鏡はより膜の厚さが数mumであることが判った。X線回折法では,熱陰極放電ではd=1.670Å,d=1.959Å付近で結晶成長していること,冷陰極放電ではd=1.414Å付近で結晶成長していることが判った。 第二の実験には磁界中の大電流熱陰極直流放電が用いられる。熱陰極としては,LaB_6を用い水素ガスで50Aの放電電流を得た。電子密度は10^<11>/cm^3のオーダーである。 今後はこの放電中に炭素薄膜および各種金属を挿入してプラズマ照射による表面の損耗を測定する。
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