遺伝子工学的手法を用いたプロテアーゼインヒビターの機能構造の解明
Project/Area Number |
05680531
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Structural biochemistry
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
小島 修一 学習院大学, 理学部, 助教授 (80215243)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | プロテアーゼインヒビター / 部位特異的変異 / 蛋白質工学 / 遺伝子工学 / 酵素阻害剤 / 構造的ゆらぎ / 一時阻害 / 機能構造 |
Research Abstract |
一般にプロテアーゼインヒビターの反応部位近傍の構造は阻害の相手となるプロテアーゼの基質類似構造をしているにもかかわらず、プロテアーゼと強固な複合体を形成し、プロテアーゼ活性を抑える。本研究ではプロテアーゼインヒビターがこのようなユニークな性質を示すための構造的基盤を明らかにするために、放線菌ズブチリシンインヒビター(SSI)を研究材料として用い、遺伝子工学の手法により部位特異的にアミノ酸置換を施し、SSIがプロテアーゼインヒビターとして機能するためにはどのようなアミノ酸あるいは構造的要素が必要であるか調べた。まず、SSIの反応部位近傍に存在するジスルフィド結合を取り除いたところ、ズブチリシンに対する阻害活性がインキュベーション時間の経過と共に低下するという一時阻害の現象を示すことがわかった。そしてこの現象は、ズブチリシンによって変異SSIの反応部位のペプチド結合が切断された中間体を経て分解が進行することであることが明らかになった。また変性温度も20度程低下していた。すなわち反応部位近傍のジスルフィド結合を取り除くとゆらぎが増大し、そのためプロテアーゼによって切断されたペプチド結合が再生されないことが一時阻害の原因であると結論された。反応部位近傍のジスルフィド結合はそのまわりの構造的ゆらぎを抑えることにより、SSIがインヒビターとして機能するために必要な構造なのである。一方反応部位のN末端側に存在するフレキシブルループから2残基を欠失させるとやはり一時阻害を示すようになったが、この場合は反応部材に歪みがかかったことが原因であると考えられた。さらに反応部位から離れ、C末端のカルボキシル基と塩結合しているArg29を置換した場合も一時阻害を示すようになった。この場合は、変異により、プロテアーゼによる非特異的な分解を受け得る変性状態への平衡がずれたためであると考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(12 results)