カテゴリー形成場面における意味の身体性に関する研究
Project/Area Number |
05710005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Philosophy
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 雅之 大阪大学, 人間科学部, 助手 (70207918)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | カテゴリー / 認知意味論 / プロトタイプ / イメージ図式 / 現象学 |
Research Abstract |
ゴールドシュタインによると、健忘失語症患者は抽象的態度、または「カテゴリー的態度」を喪失している。カッシーラーも同様にこの症状の原因を、高度の知的働きである「シンボル機能」の阻害に帰している。これに対して、メルロ=ボンティおよびシュッツは、健忘失語症は前述定作用の障害であるとする。患者が類比を理解しえないことをうまく説明できるのは、後者の解釈である。しかし、メルロ=ボンティらの立場でも、(1)色の分類不能、(2)物の名の想起不能、(3)分脈による意味の転換の理解不能といった健忘失語症の症状を総合的に説明することはできず、さらに前言語的なカテゴリー形成の働きの構造、およびこの働きと抽象的・知的活動との関連も依然として不明である。本研究では、認知意味論による〈イメージ図式〉、〈プロトタイプ〉、〈基本レベルのカテゴリー〉などの概念装置を使い、この課題を果たすことができた。すなわち、症例(1)は色のプロトタイプの喪失、症例(2)は基本レベルのカテゴリーの障害、症例(3)はイメージ図式の阻害であると分析できる。さらにこれらは、基本的には、身体化されたレベルのカテゴリー形成機構であるが、〈隠喩的投射〉によって、抽象的(言語的)レベルの知的活動をも制約するという形で、ゴールドシュタインらの言う高度に知的な働きとの関連づけを明らかにすることができたのである。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)