Project/Area Number |
05710015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
印度哲学(含仏教学)
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Research Institution | Koyasan University |
Principal Investigator |
森 雅秀 高野山大学, 密教文化研究所, 講師 (90230078)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 空間認識 / マンダラ / NispannayogavalT / VajravalT / Abhayakaragupta / 結界法 / 観想法 / 寺院構造 |
Research Abstract |
本研究では、インド密教において(1)どのように象徴的な空間が形成されたか、(2)形成された空間はいかなる構造をそなえていたか、(3)空間は実践の場にどのように投影されたか、という三点を、サンスクリット文献を用いて明らかにした。そして、そこから宗教的な空間認識のひとつとして、インド密教の空間モデルを抽出した。主としてとりあげた文献資料は、マンダラの観想法を扱ったNispannayogavalTと、マンダラの制作方法を説くVajravalTである。これらの文献から空間認識に関する事例を収集し、その特徴を明らかにした。この他に、空間の投影の事例として、ネパールの密教寺院の構造も研究の対象とした。「中心と周縁をそなえた円、もしくは多角形」が宗教的な空間の典型的な形態であることは、すでにエリア-デなどによって指摘されている。密教的な空間の構造もその例外ではないが、儀礼や瞑想法などの実践的な側面からの空間認識の方法として、「中心から周縁」「周縁から中心」というふたつの方向性をそなえている。そして、周縁への拡散や中心への収斂が、放射状に行われるケースと、右回りに行われるケースが認められた。さらに、これらの運動を確認するために鳥瞰的な視点から空間全体を認識する第三のケースがある。以上の「放射型」「右旋型」「鳥瞰型」という三つの空間認識のタイプが、インド密教の諸事例から得られたものである。さらに注目すべき点として、ひとつの事例の中に二つ、もしくは三つの異なるケースが共存していることを指摘した。これは、視点を一箇所に固定して行われる近代的な空間認識とは異なり、視点の移動、あるいは複数の視点の内在を許容する空間認識の方法として、密教空間を特徴づけるものである。
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