視覚障害者が地図から読みとった環境と実際の環境との対応関係の検討
Project/Area Number |
05710052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
実験系心理学
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
山本 利和 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (20200826)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 視覚障害 / 触地図 / 歩行 / 地図 / 移動 |
Research Abstract |
視覚障害者用の地図として触地図は比較的よくゆきわたっている。触地図とは、地図の表面に凹凸をつけ、指先でそれに触れ、情報を読みとるようにした地図である。触地図は駅や建物など多くの公共場所に設置されているが、触地図を利用した視覚障害者の評価は必ずしも良くなく、触地図から移動ルートを読みとったり、環境内の対象の位置関係を読みとることの困難さが指摘されている。歩行者は地図から目的地までの移動の時系列的情報とランドマークの位置関係についての情報を得ることができる。そして、そうした情報に基づいて、自己の体を中心とした環境のパースペクティブを構成し、それを実際の環境に当てはめることで、地図に含まれた情報を歩行に役立てると考えられる。そこで、本研究では、視覚障害者が、障害の無い者と比較して、触地図から環境のパースペクティブを構成するのが困難であり、それゆえに触地図が実際場面で役立ちにくくなるという仮説を立て、その仮説を検討した。研究は、目隠しをした大学生と、生後3歳までに失明した早期失明者で行なわれた。被験者は簡単な触地図に触れ、出発点でランドマークの位置を定位した後、歩行し、所々で立ち止まり、ランドマークの位置を定位した。被験者の歩行した経路には曲がり角も含まれていた。本研究から明らかになったことを要約すると (1)目隠しをした大学生の多くは最初にランドマークを定位した時にその位置をあたかも見えているかのようにイメージし、移動した後にもそのイメージを利用してランドマークの定位を行った。これに対して、早期失明者ではそうした環境の視覚的パースペクティブを利用した者はいなかった。(2)早期失明者は遠方のランドマークへの方向定位がより不正確であった。(3)移動に伴う身体の回転が空間定位を失わせる度合いは早期失明者により多く認められた。以上の結果から仮説はほぼ支持されたと考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)