Project/Area Number |
05710084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
教育・社会系心理学
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
越 良子 広島大学, 教育学部, 助手 (60215233)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1993: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 自己査定 / 自己高揚 / 達成目標 |
Research Abstract |
人は、自分自身にどのような能力があるのかを知りたいという欲求をもち、自己に関する情報を収集するために自己査定行動を行なう。自己関連情報には自己に対して否定的な、すなわち自己評価を低下させる情報も含まれており、したがって、自己査定行動は、自己に対する否定的情報も受容する行動だといえる。一方、自己高揚理論によると、人は肯定的な自己評価を得ようとして自己高揚的な情報収集を行なう。本研究は、自己高揚欲求があるにもかかわらず、なぜ、否定的情報を受け取り、それを受容できるのかを明らかにするために、自己査定行動の生起因の検討を行なった。 ここでは、自己査定行動を将来の自己高揚の準備段階として捉えた。仮説は、将来の自己高揚の可能性、すなわち将来肯定的自己評価を得る可能性があるとみなされた場合は、その準備のために自己査定はなされるが、将来の自己高揚の可能性がなければ、自己査定行動はなされない、というものであった。将来の自己高揚の可能性は、ある能力次元での明確な達成目標の有無と、その達成可能性認知によって操作された。自己査定行動は、能力の高さを判別できる程度の異なる4種類の課題のうち、どの課題を選択・選好するかによって測定された。 調査の結果、明確な達成目標をもちかつその達成可能性が高いと認知された場合、すなわち将来の自己高揚の可能性があるとみなされた場合は、自己査定行動が多く生起したが、そうでない場合は自己査定行動は生起しないことが明らかにされ、仮説は支持された。ただし、目標をもたず、かつ達成可能性認知の低い場合も自己査定を多く行なっており、これは能力課題への自我関与の低さによるものと思われる。これらの結果から、自己査定行動ひいては自己に関する否定的情報の受容は、将来における自己高揚のためになされる可能性が示唆された。
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