Project/Area Number |
05710217
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Asian history
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山田 賢 千葉大学, 文学部, 助教授 (90230482)
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Project Period (FY) |
1993 – 1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 伝統中国 / 人口移動 / 地方行政 / 公局 / 地域エリート |
Research Abstract |
本研究は中国清代の人口移動と社会変容について、四川省の事例を中心に広く比較検討し、いわば中国における人口移動を特殊性と普遍性の両面から検討することを目的としていた。第一点、「特殊性」から見た中国の人口移動という観点は清代四川地域研究というかたちを通して進められた。具体的には、清代後半期に至り四川各地域に簇生した「公局」を考察の端緒として史料収集と分析にあたった。大量の移住民の流入は必然的に地方行政の広域化・高密度化を要請したが、硬直的な王朝国家行財政システムの下では実態に見合った柔軟な地方行政制度の変容は困難であった。そのため、膨張を続けた四川地方社会では、地域エリートの参画によって恒常的な行政の補完を行っていくための半官半民の組織=「公局」が誕生する。大規模な開発移住によって形成された新たな地域社会が、如何なる行政的編成のもとに調和的に組み込まれていくか、という観点から見るならば「公局」はまさしく自律的な地域秩序と行政権力とが接触・相互浸透する界面に他ならず、人口移動にともなう秩序と統合への潮流を解析するための鍵となるであろう。「公局」については地方誌をはじめ『南川公業図説』等の漢籍史料を複写により収集、基礎的データの集積と分析に着手した。一方、単に清代四川地域研究のみならず、中国の他地域、他時代における人口移動・変容との比較検討を通して、中国社会固有の特質を抽出することも本研究の重要な柱である。本年度に発表した書評(三石善吉『中国の千年王国』に対する書評、『歴史学研究』647号、1993年)もかかる比較検討作業の一環を成している。移住民社会の統合過程に出現する亀裂一千年王国的な様相を見せる「反乱」もまた、伝統中国的秩序の様態を開示する鍵の一つと予想される。以上、本研究は二つの方法的視角のもとに「秩序」の構造自体を射程として進められ基礎資料の蓄積と分析の深化を見ることができた。
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