14、15世紀のフィレンツェに於ける、地域社会の人的ネットワーク
Project/Area Number |
05710225
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
History of Europe and America
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
徳橋 曜 富山大学, 教育学部, 講師 (30242473)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 人的結合関係 / 地縁 / 隣人 / 不動産賃貸借 / パトロネイジ |
Research Abstract |
今年度の研究の実施によって、本研究の目的である、中世のフィレンツェにおける人的結合関係の在り方については、概ね、以下のようなことが解明された。まず、不動産(市内の場合は家屋)の賃貸関係が、単なる契約関係に留まらない、社会的な人的結合関係として成立していた可能性の強いことが、史料の分析から窺われることが判った。賃貸される不動産の多くは、店舗を含んだ建物であり、それらの店舗の賃貸契約を検討した結果、金銭の遣り取り以外にも、日常的な結びつきに通じる内容を持つことも推論された。また、貸借人には、多様な職種の手工業者や商人がいるが、彼らの賃借料は、例えば、家主が彼らから購入した樽や靴の費用や、依頼した業務の費用などで、立て替えられることも頻繁であり、両者の結合が、家主にとっても賃借人にとっても有益なものであったことが、窺われた。賃貸に充てられる不動産の存在する地域の性格(毛織物工業の関連職種の集中する地域等)とも関係して、賃借人の間には、職業上の関連性の見られるケースも見られた。この場合、一般に、フィレンツェの有力市民が市内に不動産を所有する場合、特定の地域にそれを集中させる傾向があるので、こうした家屋・店舗の賃貸借を通じた人間関係が、地縁的な人的結合関係に結びつくことが、示唆された。さらに、当該物件が、家主である有力市民の居住地区とは別の地区にあるケースが、今回の研究過程で見られたが、このような場合に、賃貸借の契約関係から導かれる人的結合関係が、地縁的な人間関係の中において持つ意味は、非常に興味ある問題であり、一層の検討を必要とする。
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Report
(1 results)
Research Products
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