Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
知的所有権紛争の解決にあたっては、しばしば高度な専門知識を必要とし、また企業秘密の保持が図られねばないないなど通常の取引紛争の解決の場合とは異なる局面を有するため、これらの点に対する配慮が要求される。 裁判所に持ち込まれる訴訟事件数の爆発という事態も手伝って、裁判外紛争処理(ADR)の先進国ともいえるアメリカでは、通常の取引紛争に関する裁判外紛争処理のみならず、知的所有権紛争に関する裁判外紛争処理の研究も盛んに行われている。アメリカでは実にさまざまな裁判外紛争処理方式が提案され、実際に実行されている。具体的には、Negotiation,Mediation,Summary jury trial,Nobinding arbitration,binding arbitration,Mini-trial,Court-annexed arbitration/mediation,Rent-a-judge trialなどが挙げられる。これら紛争処理の方式の一つひとつについてここで詳述することはできないが、これらの裁判外紛争処理を裁判による紛争処理と対比すれば、知的所有権の保護対象に通じている専門家による公正な判断の確保、費用、労力や時間などの節約、秘密保持、当事者間の友好的関係の維持などの点で一般に優れているといえる。 しかし、国際知的所有権の紛争解決となると、たとえば国際的仲裁機関によって提示されている仲裁手続(ディスカヴァリの利用可能性やその範囲、仲裁人の数、仲裁人の権限、仲裁人への報酬の支払方法など)にも大きな相違が見られ、統一が図られていないのが現状である。 今後の課題として、上記の紛争処理方式を比較検討するとともに、事件によってはそれらの紛争処理方式を組合せることによって適切に国際知的所有権紛争を処理することはできないかなどの問題を考察してゆきたいと考えている。
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