Project/Area Number |
05720041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Politics
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
前山 亮吉 静岡県立大学, 国際関係学部・教養科, 講師 (70238880)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 大正2年司法部大改革 / 裁判所統廃合 / 長崎控訴院移転問題 / 第37帝国議会 / 寄付金と政治倫理 |
Research Abstract |
本課題の研究方法は、事例分析と資料収集とに大別される。事例分析について本年度は1915年(大正4年)に政治争点化した長崎控訴院移転問題の研究論文を完成した。 以下同論文の要約を紹介する。1913年(同2年)司法部大改革の結果、上告審管轄権を喪失した控訴院の事件数は減少の一途をたどっていた。したがって司法省は広島・長崎両控訴院統廃合を計画し、その前提として長崎控訴院福岡移転法案を議会に提出した。しかし第37帝国議会は本移転法案を否決し、司法省の行革意図は頓挫した。頓挫にいたるまでの政治過程・議会内政治を精査した結果次の3点の知見を見い出すに至った。 1.司法省は法案の大義名分たる控訴院統廃合構想を提案理由に盛り込むことに消極的であり、その態度が本法案を関係地方議員の利害を前面に表出させる「地方問題」に矮小化させ、議員の党議拘束を不可能にし否決多数に至った。 2.汚職事件の処理をめぐり司法大臣の政治的信用が失墜していた事・今日の司法政務次官に相当する議員が統廃合対象である長崎選出であったという事実に代表されるように、司法省高官のリーダーシップは当時著しく欠落していた。 3.控訴院移転先に擬せられていた福岡市の誘致運動が司法省への寄付金対策に集中していたため、寄付金供与をめぐる政治論理上の問題点が議会審議で追求されるなど、本法案は議会での広汎な支持を得る環境にはなかった。 一方、資料収集の側面では1913年に廃止された地方裁判所支部・区裁判所の復活状況および1921(同10年)の函館控訴院札幌移転問題に関する基礎的資料の収集をほぼ終了し、論文・データベース作成の準備段階にある。
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