Research Abstract |
研究の目的は3次元以上の代数多様体に含まれる可縮な孤立例外直線を研究することであり、またこのような例外直線を潰してできる孤立特異点を研究することであった。代数曲面の場合、例外直線(非特異有理曲線)を潰して得られる特異点は、常に有理特異点であった。しかし、3次元以上では有理特異点でないものが存在する。1次元例外集合のみを潰して得られる孤立特異点を小特異点というが、小特異点が有理特異点になるための必要十分条件はそれがCohen-Macauleyであることである。直線の法線束が負(またはsemi-negative)ならば、それは常に例外直線(すなわち可縮)で、それを潰した特異点は有理特異点で、しかもGorensteinである。正な法線束を持つ直線は可縮でないので、正と負の直和因子が共にある法線束を持つ直線が考察の対称になる。直線の法線束の正、負の直和因子の次数の和を各々a,b(a>0,b<c)としよう。まず、直線が例外的であるためのはa+2b<0でなければならないことが明らかにされた。また多様体の次元をn≧3とするとき、a+2b≦-n+1を満たす全ての(a,b)に対し、そのような次数の法線束をもつ例外直線は存在する。特にn=3ならa+2b<0を満たす全ての(a,b)に対し存在する。従ってa+2b<0という評価は、確度が高い。 ところで例外直線の法線束のコホモロジーが消滅していなければ、それを潰した特異点は有理特異点ではない。従って、有理特異点に潰れる例外直線の法線束の各直和因子の次数は全て-1以上でないといけない。以前、この命題の逆も正しいと信じられていたが、それは誤りであることが明らかにされた。即ち、コホモロジーが消滅しているのに有理特異点に潰れない例が発見された。 またLauferは有理小特異点はGorensteinであると主張していたが、それは誤りであることが明らかにされた。
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